多くの看護師にとって仕事と子育ての両立は困難で、悩んでいる人は多いです。実は、2022年に行われた日本看護協会の調査分析によると、看護師の離職理由の第2位が「子育て」だと報告されています。
看護師の仕事と子育ての両立には、以下の4つのポイントを見直すことが重要です。
この記事では、仕事と子育てが両立できる働き方や、国の子育て支援制度を解説します。工夫することで、無理なく子育てと仕事の両立ができます。
この記事は総合病院から訪問看護に転職を成功させた看護師が書いています。
多くの看護師が仕事と子育ての両立で抱える悩みとは?
子育てをしながら働くことで、他の看護師に迷惑をかけているのではないかと、不安やストレスを感じている看護師は多いです。夜勤やシフト勤務による子どもへの悪影響を考え、悩んでいる看護師も多いです。ここでは、看護師が仕事と子育てとの両立で抱える悩みをまとめます。
不規則なシフトで子どもに寂しい思いをさせている
不規則なシフトで、子どもと生活リズムがズレてしまい、寂しい思いをさせているのではないかと悩む看護師は多いです。せっかく子どもが休みでも、仕事だと遊びに連れていけず、申し訳なく感じます。
夜勤やシフト勤務だと生活リズムも不規則になることが多く、子どもの成長発達面の悪影響を心配する看護師も多いです。
子どもの体調不良による急な早退や欠勤
子どもは急に体調が悪化することがあり、想定外の早退や欠勤に悩む看護師は多いです。毎日忙しい現場で急な早退や欠勤する場合、他の看護師に仕事を引き継ぐことが、精神的ストレスになります。
子どもが小さいうちは特に体調を崩す頻度も多いため、多くの看護師が子育てとの両立に難しさを感じています。
夜勤や残業ができず職場に迷惑をかけている
子育てとの両立のために、夜勤免除や時短勤務を利用する看護師は多いです。
しかし、他の看護師が忙しそうに働いているなか、業務を引き継いで先に退勤することに申し訳なさやストレスを感じています。
夜勤を免除すると、他のスタッフの夜勤回数が増えるため、迷惑をかけているのではないかと悩む看護師も多いです。
とにかく時間に追われて心身ともに余裕がない
毎日仕事と育児に追われて、時間が足りずに心身ともに疲弊している看護師は多いです。毎日の生活をこなすことに精一杯で、子どもやパートナーとの時間を楽しむ余裕がなくなっています。余裕のなさが家族関係に影響することも多く、多くの看護師が仕事と子育ての両立の難しさを感じています。
看護師が仕事と子育てを両立するための工夫
子育てと仕事を両立するためには、さまざまな働き方の工夫が必要です。具体的には、以下が挙げられます。
ここでは、看護師が仕事と子育てを両立するためにできる工夫を詳しくまとめます。
労働条件をパートやアルバイトに変更する
仕事と子育ての両立が難しいと感じたときは、正社員からパートやアルバイトに労働条件を変更するのも1つの手です。パートやアルバイトであれば、融通の利くシフトや短時間勤務で子育ての時間を確保できます。
何度も転職を繰り返すよりもキャリアダウンの心配が少ないため、両立に悩み退職を決断する前に一度、上司に相談しましょう。
夜勤免除や夜勤回数を減らす交渉する
小さな子どもを育てている看護師にとって、夜勤は大きな負担です。上司に夜勤と子育ての両立が困難だと正直に相談して、夜勤免除や夜勤回数を減らす交渉を行いましょう。
看護業界は人手不足で困っている職場が多いため、働き続けられる方法を一緒に考えてくれる可能性が高いです。育児・介護休業法では、ある一定の条件を満たしている場合、夜勤免除が認められています。
制度を利用すると、仕事と子育ての両立がしやすいです。
制度の詳しい利用条件は、記事後半の「仕事と子育てを両立するために使える国の制度を知ろう」で、解説します。
院内保育(託児所)を利用する
勤務先に院内保育(託児所)がある場合、利用すると子育てとの両立がしやすくなります。理由は、子どもの送迎の手間が減り、子どもの急な体調不良にも対応しやすくなるからです。子どもが近くで過ごしているため、仕事中も安心して働けます。
保育士も看護師の仕事に理解があるため、急な残業や休日保育にも柔軟に対応できる可能性が高いです。
子育てと両立しやすい職場へ転職する
もし、今働いている職場がシフト制の不規則勤務や、残業が多い場合、自分の力だけでは子育てとの両立は難しいです。しかし、子育てと両立しやすい職場へ転職すると、無理なく仕事と子育てを両立できます。
私自身も転職活動時、転職希望先の人間関係や、職場の雰囲気を教えてもらえたことで納得のいく転職ができました。
効率的にいい転職先を見つけたい人は、転職サイトを利用しましょう。
一般的な子育てと両立しやすい職場は、記事後半の「仕事と子育てを両立しやすい看護師の職場6選」でまとめます。
子育てと両立しやすい勤務形態を選択する
子育てと両立しやすい働き方の選択肢の1つとして、派遣看護師があります。派遣看護師の働き方はとても柔軟で、1日の単発勤務から最長3年間の勤務まで、自分で決めた期間だけ働くことが可能です。自分のライフスタイルに合わせて働き方を変化させていけるメリットがあります。
おすすめの看護師派遣サイトは【レバウェル看護 派遣】です。レバウェル看護 派遣のメリットは、以下のとおりです。
自分の得意や興味に合わせて働く場所や、働く量を決められるため、柔軟に子育てとの両立ができます。
リモートワークができる働き方を選択する
リモートワークをすると通勤時間が削減されるため、時間を有効活用できます。体力的な負担を軽減できることが、現場仕事にはないメリットです。家族との時間や、家事の時間が充実するため、ストレスなく仕事と子育ての両立ができます。
仕事と子育てを両立するために使える国の制度を知ろう
国の子育て支援制度を正しく理解して、活用できている看護師は少ないです。育児・介護休業法では、育児をしながら働く労働者が、仕事と家庭を両立できるように支援するための法律が整えられています。
国の制度を正しく理解して、利用することで仕事と子育ての両立が実現可能です。ここでは、2023年の改正ポイントを押さえつつ、仕事と子育てを両立するために使える国の制度を4つ紹介します。
所定外労働の制限(残業免除)
令和7年4月1日からは、所定外労働の制限(残業免除)の対象が拡大されるため、より子育てとの両立がしやすくなります。対象の改正は、以下のとおりです。
改正前 | 改正後 | |
---|---|---|
残業免除の利用対象者 | 3歳に満たない子を養育する労働者 | 小学校就学前の子を養育する労働者 |
事業主は、正常な業務の運営を妨げる場合を除いて、残業免除の申請を拒否できません。制度の対象者が拡大されたことで、子どもが成長しても子育てとの両立がしやすくなります。
残業免除の請求は、1回につき1月以上1年以内の期間で、開始日および終了日を明らかにしたうえで何度でも請求可能です。ただし、以下の労働者は労使協定によって利用できないことがあるため確認が必要です。
深夜業の制限
育児・介護休業法では、小学校入学前の子どもを育てる親が請求した場合、深夜業(午後10時〜午前5時)の制限を定めています。
シングルで子育てをしている人や、両親ともに夜勤がある世帯の場合は、制度を利用することで子育てとの両立がしやすくなります。
短時間勤務制度
「短時間勤務制度」は、いわゆる時短勤務と呼ばれる制度で、育児・介護休業法に定められています。3歳に満たない子どもを育てている労働者は、職場に申し出ることで時短勤務(原則として1日6時間勤務)が可能です。就業時間が短くなる分、子育てとの両立がしやすくなります。
職場によっては、子どもが小1や、小4になるまでなど取得可能期間を柔軟に設定している場合があります。制度を利用する前に、自分の職場の就業規則を確認しましょう。
時短勤務のデメリットは収入減少です。フルタイム勤務と比較し、基本給の減少に加えてボーナスも減額されます。
子どもの養育費がかかる場合、時短勤務で生活が苦しくなる可能性があるため注意が必要です。
子の看護休暇制度
「子の看護休暇」とは、病気や怪我の子どもの世話をするための休暇制度で、育児・介護休業法に定められています。対象となる子どもを養育する労働者は、1年度あたり5日(対象となる子どもが2人以上の場合は10日)を限度に取得可能です。
令和7年4月1日からは、「子の看護等休暇制度」と名称変更し、対象者の適用範囲と取得条件が拡大されます。今までよりさらに柔軟に仕事と育児の両立がしやすくなります。改正前と改正後のポイントは、以下のとおりです。
改正前 | 改正後 | |
---|---|---|
対象者となる範囲 | 小学校就学前まで | 小学校3年生終了まで |
取得理由 | 病気・けが・予防接種・健康診断 | 感染症に伴う学級閉鎖など、入園(入学)式、卒園式などの行事参加を追加 |
労使協定の締結により除外できる労働者 | (1)雇用期間が6ヶ月未満 (2)週の所定労働日数が2日以下 | (1)を撤廃し、(2)週の所定労働日数が2日以下のみに変更。 |
「子の看護休暇制度」は、育児と仕事を両立できるように国が労働者に与えた権利です。子どもは体調を崩しやすく、突然仕事を休まなければならない場面があります。制度を知っていることで、突発的なイベントに対しても、柔軟に対応できる働き方が可能です。
看護師が仕事と子育てを両立するために家庭でできること
仕事と子育てを両立するために、家庭内の協力体制を整え、家事を効率化することが重要です。適切なサポートを受けることで、自分が本当に大切にしていることに注力できます。
ここでは、看護師が仕事と子育てを両立するためにできる、家庭環境の整え方をまとめます。仕事と子育てを無理なく両立するために、導入できるものを検討しましょう。
パートナーと協力して家事と子育てを分担
仕事と子育てを両立させるには、パートナーの協力が欠かせません。看護師は責任感が強い人が多いため、一人ですべてを抱え込む人が多いです。しかし、シフト制の勤務では家事や育児とのスケジュール調整が難しいため、パートナーとの役割分担が大切です。
パートナーとこまめにコミュニケーションを取り合い、感謝の気持ちをもって、家族全体でサポートしあいましょう。
家事時短家電の導入
時短家電を導入すると、家事の効率化がすすみ、仕事と子育ての両立がしやすくなります。主な時短家電は以下のとおりです。
時短家電の導入は、初期投資がかかることがデメリットです。しかし、長期的にみると生活の質の向上や、家族との時間を増やせるメリットがあります。
おすすめの時短家電について書いた記事です。ご覧ください。
»【育児との両立の秘訣】30代子持ち看護師におすすめな時短家電6選
シッターや家事代行などの外部サービスの導入
家庭内だけで、すべての家事や育児をこなすのが困難な場合は外部サービスを利用しましょう。第三者の手を借りることで、自分が本当にやりたいことに時間を注げます。
国も仕事と子育ての両立支援事業として、「ベビーシッター利用割引券」を発行し、子育て世帯を支援しています。その他にも、各自治体では、ファミリー・サポート・センター事業が利用可能です。
外部サービスを上手に利用すると、効率的に子育てと仕事の両立ができます。
仕事と子育てを両立しやすい看護師の職場6選
職場で働き方を調整したり、家庭環境を整えても、仕事と子育ての両立はとても大変です。子育てと両立しやすい職場を選ぶことで、時間や体力、経済的に余裕を持って働けます。
子育てと両立しやすい職場には子育て中の看護師が多いため、理解を得られやすく働きやすいです。ここでは、子育てと両立しやすい看護師の職場を6つ紹介します。
夜勤がないクリニックや外来の看護師
無床のクリニックや外来看護師は夜勤がないため、子育てとの両立がしやすいです。同僚には子育て中の看護師も多いため、仕事と子育ての両立に理解があり、協力しあいながら勤務調整ができます。診療日が決まっていることも多く、子どもとお出かけの予定なども立てやすいメリットもあります。
急変や残業がない検診センターの看護師
検診センターの看護師は1日の予約数が決まっており、残業がほとんどないため子育てとの両立がしやすいです。基本的には健康な人を対象に仕事をするため、急変対応もなく精神的ストレスが少なく働けます。
検診センターの看護師は求人の人気が高く、なかなか転職できない点に注意が必要です。
時間の融通を利かせやすい訪問看護師
訪問看護師は1日の訪問スケジュールが決まっているため、勤務時間の融通を利かせやすく、子育てとの両立がしやすいです。職場によっては、訪問の合間に時間休を取得して、個人の用事を済ませられます。
ただし、正社員として働く場合、オンコール対応が必須の訪問看護ステーションもあるため、転職する場合は事前に確認しましょう。
給料が高い美容看護師
子育てには多くのお金が必要です。美容看護師は自由診療のため、他の病院や施設と比較して給料が高いことが多く、仕事と子育ての両立に適しています。診療も予約制のところが多いため、急な残業や出勤などが発生しにくいメリットもあります。
ブランクがあっても安心なデイサービスやデイケアの看護師
妊娠や出産に伴い、一度現場を離れた看護師にはデイサービスやデイケアがおすすめです。医療的ケアや高度な知識を求められる場面が少ないため、ブランクがあっても安心して勤務できます。
デイサービスやデイケアは、週末が休みの施設も多いため、子どもと休みが合いやすく、子育てと両立がしやすいです。
働き方を調整しやすい派遣看護師
派遣看護師になると、自分で働く日数や時間を調整できるので子育てと両立がしやすいです。
上記のような要望があっても、派遣看護師なら叶えられます。レバウェル看護は、業界最大級の好条件求人を取り扱っているため、いい待遇の仕事が探せます。
有給休暇の制度も整えられているため、子どもが小さいうちでも安心して働くことが可能です。
まとめ
多くの看護師にとって、子育てと仕事の両立は大きな課題になります。仕事と子育ての両立のためには、以下の3つのポイントを押さえることが重要です。
いま働いている職場で、育児との両立が難しい場合は、転職を視野にいれましょう。子育てと両立しやすい職場への転職を成功させる方法は、【徹底解説】30代看護師が転職を成功させる5つのコツ!で詳しく解説しています。
子育てと両立しやすい職場へ転職を成功させたい人は、ぜひ読んでください。