育児との両立のために時短を使っている中、上記のような不安や悩みを抱えている人は多いです。
世の中には、子持ち女性の穴を埋めるために独身女性が過剰に働くことになった気持ちを吐き出す際に使われる皮肉めいた「子持ち様」という言葉も存在します。残念ながら、時短勤務を良く思っていない人がいることも事実です。
この記事では、時短勤務が同僚に与える影響や時短で働く際のコツについて詳しく解説します。記事を読めば、迷惑にならないような働き方がわかり、時短勤務で働くことの不安が軽減します。
時短勤務は迷惑なの?同僚に与える影響とは?
時短勤務はなぜ迷惑と言われるのでしょうか。時短勤務を取得することで、同僚にどのような影響を与えるのかを知りましょう。同僚にどのような影響を与えるのかがわかると、対策しやすいです。
同僚に与える影響について、以下の3点を解説します。
シフト調整の難しさと不公平感
シフト調整は看護の現場で特に難しい課題の一つです。時短勤務を選択する子持ち看護師がいると、どうしてもシフトの編成が複雑化し、不公平感が生まれます。
育児・介護休業法により、時短勤務対象者は原則として深夜時間帯(午後10時から午前5時まで)の勤務が免除されます。夜勤や週末勤務などの負担が他のスタッフに偏るため、職場全体のモチベーションに影響を及ぼすことも少なくありません。
ただし、問題の本質は時短制度自体ではなく、十分な調整や職場全体の理解が不足していることが多いです。
時短勤務のスタッフがいる職場では、全スタッフの勤務時間や業務量のバランスを取りながら、公平で効率的なシフトを組むことが大きな課題です。
業務量の偏りによる負担増加
時短勤務者と同じシフトの人が固定化すると、その人の負担が著しく増えてしまう可能性があります。
特定のスタッフに業務負担が集中しないよう、シフトを調整することが大切です。
チームワークへの影響
時短勤務者は労働時間が短くなるため、同僚とのコミュニケーションの機会が減少します。コミュニケーションが取りづらいため、同僚との間に距離を感じやすいです。チームの一体感が損なわれる可能性があります。
時短勤務者に対して「モチベーションや責任感が不足している」という誤解が生じる場合もあります。忙しいときには、人は周りに厳しくなるものです。
業務量が少ない時短勤務者に対して、厳しい目を向ける同僚もいても不思議ではありません。
誤解は、チームの雰囲気を悪化させ、協力関係を損なう恐れがあります。
子持ち看護師が時短勤務で働くのは迷惑?
育休が明けて復職すると、育児と仕事の両立の大変さを痛感します。時短勤務は、子持ち看護師にとってはありがたい制度です。
子持ち看護師が時短勤務で働くのは迷惑なのかについて、以下の2点を解説します。
子持ち看護師が迷惑をかけていると感じる瞬間
子持ち看護師が時短勤務を利用することで、迷惑をかけていると感じる瞬間は、以下のとおりです。
緊急入院や急変があったとき、帰る時間になってしまった場合、同僚が残業になることが目に見えてわかるため気まずく感じます。
そのうえ、業務を引き継がないといけないとなると迷惑をかけてしまって申し訳ない気持ちでいっぱいになります。
病院での時短勤務のリアル
病院での時短勤務はどのくらい取得されているか疑問に思う人も多いです。
2023年12月に厚生労働省が発表した資料によると、時短勤務(短時間勤務制度)の利用率は、正社員の女性が 51.2%、正社員の男性が 7.6%となっています。
しかし、そのうち病院で看護師がどれくらい取得しているのかは、具体的な数字は見つけられませんでした。
看護師は責任感が強い人が多い印象です。「迷惑はかけられない」という思いから時短の利用をためらう人が多い現状があるのではないでしょうか。世の中の看護師は不足しています。看護師を辞めさせないために、時短制度がより使いやすくなっていくことが予想できます。
総合病院で勤務していた際、友人は時短勤務を利用していました。同僚から嫌な顔はされず、むしろ「大丈夫だから、早く帰ってください。」と声をかけられていたようです。
迷惑がかかるかは、職場の風土と利用している人次第なのかなという印象です。
時短看護師が迷惑だと思われないためのコツ
時短勤務が迷惑かどうかは、結論、職場の風土や時短を取得している人の振る舞いに左右されます。時短看護師が迷惑だと思われないためのコツについて、以下の4点を解説します。
上司や同僚とのコミュニケーション
上司や同僚とコミュニケーションをとるには、意識的に自分から話しかけることが大切です。時短勤務では病院にいる時間が短くなるため、上司や同僚とのコミュニケーションをとる時間が少なくなります。
コミュニケーションが少なくなると、情報の共有が難しいです。世間話をする時間も少なくなるため、話題についていけない場合もあります。
感謝の気持ちを忘れない
時短をすると時間内に業務が終わらず、同僚に業務の引き継ぎをしなければならない場合があります。時短勤務は、上司や同僚のサポートがなければできません。
忙しいと忘れがちですが、常日頃から言葉と態度で感謝の気持ちを伝えましょう。良好な人間関係を保てます。良好な人間関係を保つことは、時短勤務を利用するうえで重要です。
積極的に仕事をこなす
時短をすることで、同僚の仕事の負担が増えてしまうことは避けられません。時短勤務者と他のスタッフの間で業務量に不公平感が生まれてしまいます。
救急カートの点検や翌日の準備など、どのスタッフでも行えそうなことを積極的に探し実行することも大切です。
謙虚な姿勢
時短勤務をする際に謙虚な姿勢を示すためのポイントは、以下のとおりです。
謙虚な自己表現をする
自分が時短勤務であることを謙虚に受け止め、周囲の業務に配慮していることをアピールしましょう。「時短で◯時までの勤務ですが、それまでの間できることはなんでもさせてください。」などと伝えると、協力的な姿勢が伝わります。
なるべく時間内に与えられた仕事を終える
時短勤務中でも可能な限り自分で仕事をこなそうとする姿勢を見せることが大切です。与えられた仕事が終わらず、引き継がなければならない可能性もあります。
引き継いでくれることに感謝し、他の日に引き継いでくれた同僚の仕事を手伝い恩返しをしましょう。
以上を意識することで、周囲からも「一緒に働きたい」と思われる存在になり、職場での信頼関係を深めることが可能です。
それでも時短が迷惑をかけていると思うときの対処法
いくら時短が迷惑と思われないようなコツを実践しても、罪悪感を感じる可能性はあります。どんなに迷惑をかけないように努力しても、職場の風土によっては、冷たい態度をとられてしまうリスクもあります。
時短が迷惑をかけていると思うときの対処法は、以下のとおりです。
上司に相談する
時短で迷惑をかけていると思う場合、素直に気持ちを上司に伝えましょう。話し合うことで気持ちが軽くなったり、働きやすくなるよう、環境を整えてくれる可能性があります。
病院としては看護師に辞めてほしくはありません。ある程度要望は叶いやすいことが多いです。素直に話すことで、気兼ねなく時短を利用しやすくなります。
異動または転職を考慮する
時短で迷惑をかけていると思い、罪悪感を拭えない場合、異動や転職を考慮することをおすすめします。まずは、時短が使いやすい病棟や外来へ異動できないか、上司に相談しましょう。
希望が叶わない場合、転職することも一つの選択肢です。病院で働くことだけが看護師の仕事ではありません。
在宅やクリニックなど、働く場所はたくさんあります。パートやフリーランスなど、雇用形態もさまざまです。まずは、看護師転職サイトに登録し、求人情報を確認してみることをおすすめします。
おすすめの看護師転職サイトはレバウェル看護です。求人情報は、業界でも最多の15万件以上であり、ぴったりな求人が見つかりやすいです。
時短勤務のリアルについてQ&A
時短勤務のリアルについて、以下の2つの質問に回答します。時短のリアルについて知りたい人は参考にしてください。
時短看護師は、定時で帰れない?
看護師が時短勤務を利用する場合、定時で帰れるかどうかは状況により異なります。時短勤務の制度は通常、勤務時間の短縮を保証するものですが、実際には以下の要因により必ずしも定時で帰れるわけではありません。
業務の繁忙状況
急な患者対応や人手不足の場合、定時で帰りにくいことがあります。特に医療現場は予測不能な事態が発生しやすく、業務が延びるケースも少なくありません。
病院のサポート体制
職場によっては、時短勤務者の負担を軽減するためにシフト調整や人員配置が工夫されています。しかし、十分でない場合には残業が発生する可能性があります。
上司や同僚との連携不足
チームワークが重要な医療現場では、同僚や上司と適切に業務を分担し、サポートを得ることで、よりスムーズに定時で帰れる可能性が高まります。
時短勤務で定時に帰れるかは病院の体制と現場の状況次第です。
残業が続く場合は、上司と相談し、働き方の改善策を検討することが重要です。
時短看護師でいつまで働ける?
3歳に満たない子どもを育てている労働者は、職場に申し出ることで時短勤務(原則として1日6時間勤務)が可能です。
時短勤務と呼ばれる制度は、育児・介護休業法に定められています。時短勤務のルールは病院や施設の就業規則で決められています。病院の就業規則を確認しましょう。
まとめ
時短勤務を活用する子持ち看護師が、同僚に「迷惑をかけているのでは」と感じることは少なくありません。しかし、適切な対策を講じることで、周囲との関係を円滑に保ちながら働き続けられます。
時短勤務が迷惑だという罪悪感を拭えない場合は、上司に相談し異動を検討しましょう。転職も選択肢の一つです。
時短勤務が同僚に与える影響や負担を理解し、上司や同僚に感謝の気持ちをしっかりと示すことが大切です。子育てと仕事の両立を目指しましょう。
仕事と家庭を両立するために利用できる制度について書いた記事です。ご覧ください。